玄関を開けた瞬間、「パパ〜!」と走ってくる小さな足音。
抱きついてくる娘の笑顔を見ると、一日の疲れが一瞬で消えていく。
写真フォルダは娘でいっぱい。仕事中も、ふと娘の顔が浮かんでしまう。
娘が可愛くて仕方ない。そんな毎日を送っていませんか。
こんにちは、看護師でライフコーチ、ディマティーニメソッドのファシリテーターの愛原百麗です。

最初にお伝えしたいのは、娘を可愛いと思う気持ちは、とても自然で尊いものだということです。
ただ、可愛いという気持ちが大きくなりすぎると、心は知らないうちに片側に傾いた状態になります。そして、その傾きは、娘が成長して離れていくときに、大きなさみしさとなって返ってくることがあります。
この記事では、パパが娘を可愛くて仕方ないと感じる心理と、溺愛が行きすぎたときに起こりやすいこと、そしてディマティーニメソッドの「A面」という見方で心のバランスを整える方法をお伝えします。
娘への愛情を減らす必要はありません。その愛情を、娘が大人になっても心地よく続けていくための話です。
この記事では
・娘が可愛くて仕方ないパパの心理
・娘を溺愛するのは悪いことなのか
・ディマティーニメソッドでみる「のぼせ」とA面の見方
・先輩ファシリテーターがディマティーニ博士に言われたひとこと
・ひとりでできるA面の3ステップとワークシート
・反抗期や巣立ちとの向き合い方
について解説します。
ノートとペンを用意して、読み進めてみてくださいね。
無料PDFこの記事はワークシート付きです
記事の中でご紹介する『「可愛い」の裏側を見つける 両面ワークシート(娘との関係編)』(PDF・A4/2枚)を、無料でダウンロードできます。印刷して、そのまま書き込めます。
娘が可愛くて仕方ないパパの心理

「息子も可愛いけれど、娘の可愛さはちょっと別物」
そう感じているパパは、少なくありません。娘が可愛くて仕方ないと感じる背景には、いくつかの心の動きがあります。
異性の子どもだからこそ感じる特別な愛しさ
自分とは違う性別の子どもは、自分の小さいころと重ねにくいぶん、ひとつひとつのしぐさが新鮮に映ります。
おしゃれをして見せにくる。大人ぶった口調で話す。小さな手で髪を結ぼうとする。どれも自分にはなかった姿だからこそ、まっすぐ心に届くのです。
「パパ大好き」と全身で慕われる喜び
仕事では、評価されたり、比べられたりすることも多いものです。
そんな中で、条件なしに「パパ〜!」と飛びこんできてくれる存在は、パパにとって何よりの癒やしになります。自分が必要とされている、愛されているという実感は、心を大きく満たしてくれます。
守ってあげたいという気持ち
娘を見ていると、「この子を危ない目にあわせたくない」「傷つけるものから守りたい」という気持ちが自然とわいてきます。
その守りたい気持ちの強さが、「可愛くて仕方ない」という感覚をさらに大きくしていきます。
パートナーに似た面を見つける嬉しさ
笑ったときの目元や、ちょっとした口ぐせ。娘の中に妻(パートナー)に似たところを見つけて、愛しさが倍になるというパパもいます。
娘への愛情は、家族全体への愛情とつながっているのですね。
娘を溺愛するのは悪いこと?
可愛いと思う気持ちそのものは自然なもの
まずはっきりお伝えしたいのは、娘を可愛いと思うことは、まったく悪いことではないということです。
親から「可愛い」「大切だよ」と伝えられて育った経験は、子どもにとって大きな安心になります。
気をつけたいのは「のぼせ」の状態
ただ、可愛いという気持ちが行きすぎると、次のようなことが起こりやすくなります。
こんなこと、ありませんか
・娘の機嫌ひとつで、自分の一日の気分が大きく左右される
・娘が困る前に、先回りして何でもしてあげてしまう
・娘の頼みごとは、ほかの家族の予定より優先してしまう
・娘に彼氏ができることを想像するだけで、胸がざわつく
・「パパ嫌い」と言われたら、立ち直れない気がする
ひとつでも当てはまるなら、心が少し「のぼせ」の状態になっているのかもしれません。
のぼせとは、相手の好きな面ばかりが大きく見えて、心が浮き上がっている状態のことです。この言葉は、あとのディマティーニメソッドの見方でもう一度ふれますね。
ママがモヤモヤを感じるのはなぜ
パパが娘を溺愛していると、ママが複雑な気持ちになることがあります。
「娘ばかりで、わたしのことは後回し」「娘には甘いのに、息子には厳しい」「しつけをしても、パパが甘やかして台なしになる」。
こうしたモヤモヤは、ママの心が狭いからではありません。家族の中のバランスが、少し娘のほうに傾いていることを、ママの心が感じとっているサインです。
ディマティーニメソッドでみる「のぼせ」とA面

好きな面しか見えないと心のバランスが崩れる
わたしがファシリテーターを務めるディマティーニメソッドには、A面・B面・C面という3つの見方があります。
A面は、相手の好きで賞賛している言動を扱います。B面は、相手の嫌いで許せない言動を扱います。C面は、亡くなった人や去っていった人との別れ、新しく現れた人との出会いを扱います。
娘が可愛くて仕方ないという気持ちは、まさにこのA面で扱うテーマです。
「好きなのだから、そのままでいいのでは?」と思われるかもしれません。
でもディマティーニメソッドでは、好きな面だけを見て心が浮き上がっている状態も、嫌いな面だけを見て心が沈んでいる状態と同じように、バランスが崩れていると考えます。
どんな人や出来事にも、プラス面とマイナス面の両方があります。片方だけが大きく見えているとき、わたしたちは相手のひとつの面だけを、とても大きく見ているのです。
「可愛い」の裏側にある期待と執着
娘が可愛くて仕方ないとき、心の奥には、気づかないうちに期待が生まれています。
「ずっとパパを好きでいてほしい」「いつまでもこのままでいてほしい」。
期待が大きいほど、それが叶わなくなったときの落ちこみも大きくなります。反抗期に「パパうざい」と言われたとき。話しかけても返事がなくなったとき。大切な人を連れてきたとき。
浮き上がっていた分だけ、深く沈む。のぼせの状態が続くと、いつかその反動がやってくるのです。
先輩ファシリテーターがディマティーニ博士に言われたひとこと
ここで、わたしが先輩ファシリテーターから聞いたお話をご紹介します。
「あなたは完全に心のバランスを崩している」
男性のファシリテーターの先輩には、とても可愛らしい娘さんがいます。
先輩はいつも「娘が可愛くて仕方ない」と話していました。娘さんも、日常的に「パパ〜!」と先輩を慕っていたそうです。
傍から見れば、とても微笑ましい親子です。
ところが、そんな先輩の様子を見たディマティーニ博士は、こう指摘したそうです。
「あなたは完全に心のバランスを崩している」
娘を可愛がっていることを、「バランスを崩している」と言われる。最初に聞いたときは、意外に感じる方も多いと思います。
正直、私もDr.ディマティーニがそのように指摘されたと聞いて驚きました。だって、娘が可愛いなんて愛情なのでは?と思ったからです。
A面のワークで見えたこと
博士の指摘を受けて、先輩は娘さんをテーマにA面のワークを行いました。
A面のワークでは、好きで賞賛している言動の中に隠れているマイナス面を、意識して探していきます。可愛いと感じる娘さんの言動が、自分と娘さんに何をもたらしているのか。その両方の面を見ていくのです。
ワークの後に変わったこと
A面のワークの後、先輩は娘さんが「パパ〜!」と慕ってくる瞬間に、自分と娘さんにとってのデメリットを考えるようにしていたそうです。
そうして、心の昂りを下げるようにしているのだと聞きました。
娘さんを可愛く思う気持ちがなくなったわけではありません。可愛いと感じた瞬間に、心が浮き上がりすぎないよう、自分でバランスを整えているのです。
わたしはこのお話に、A面のワークの大切なところが詰まっていると感じています。愛情を減らすのではなく、偏りを整えることで、娘さんをひとりの人として見られるようになる。それが、長く続く親子関係の土台になるのだと思います。
娘が可愛くて仕方ないときに試したいA面の3ステップ

A面の考え方を、ひとりでも試せる形にしてお伝えしますね。ノートに書きながら進めてください。
ステップ1:いちばん可愛いと感じる場面を具体的に書く
「娘はいつも可愛い」「全部が可愛い」では、先に進めません。
いつ、どこで、娘が何と言ったか(何をしたか)まで、場面が浮かぶように書きます。
✖ 娘はいつも可愛い
✔ 日曜の夕方、玄関を開けたら娘が「パパ〜!」と走ってきて抱きついてきた
場面をひとつにしぼると、大きな「可愛い」のかたまりが、扱える大きさになります。
ステップ2:その場面が自分と娘にもたらすデメリットを書く
ここがいちばん抵抗を感じるところです。
「可愛い娘にデメリットなんてあるわけがない」と感じて当然です。
それでも、先輩がしていたように、自分にとってのデメリットと娘にとってのデメリットの両方を探してみてください。
自分にとって
・娘の機嫌ひとつで、一日の気分が左右される
・娘との時間を優先して、妻との会話や自分の時間が後回しになる
・娘が離れていくことを想像するだけで、不安になる
娘にとって
・パパが先回りして助けるので、自分で考えて決める機会が減る
・「パパを喜ばせなきゃ」と、知らないうちに期待に応えようとする
・きょうだいやママとの関係に、気まずさが生まれることがある
すぐには出てこなくて大丈夫です。ひとつ出てくると、次が出てきやすくなります。可愛いと感じるプラス面と、同じ数になるまで探すのが目安です。
ステップ3:自分の中にも同じ面がないか探す
最後に、娘の可愛いと感じる言動と同じことを、自分がしている(してきた)場面を探します。
相手は娘でなくてかまいません。形が少し違っていてもかまいません。
たとえば、「パパ〜!」と全身で慕ってくる娘の姿。あなたも子どものころ、父親や母親の帰りを玄関で待っていたことはないでしょうか。今も、信頼する人には素直に甘えている場面はないでしょうか。
ここで見つかると、「この子は特別で、ほかとは違う」という張りつめた気持ちが、少しゆるみます。
ゆるんだ分だけ、娘をひとりの人として、落ち着いた目で見られるようになっていきます。
無料ダウンロード
「可愛い」の裏側を見つける 両面ワークシート(娘との関係編)(PDF・A4/2枚)
娘をいちばん可愛いと感じる場面を書き出し、自分と娘にとってのマイナス面と、自分の中にある同じ面を探していくシートです。印刷して書き込めます。
※ディマティーニメソッドの考え方をもとにした、愛原百麗オリジナルのワークシートです(公式教材ではありません)。
娘はいつまで可愛い?反抗期や巣立ちとの向き合い方

「娘はいつまで可愛いのだろう」と考えると、少しさみしくなるパパもいるかもしれません。
実際には、娘は何歳になっても可愛いものです。ただ、可愛さの形は変わっていきます。
抱きついてくれる可愛さから、ひとりで考えて決めるたくましさへ。パパに頼る姿から、パパを気づかう姿へ。
思春期になると、多くの娘はいったん父親と距離をとります。お風呂を嫌がる。洗濯物を分けてほしいと言う。話しかけても短い返事しか返ってこない。
これは、親から自立していく過程で、多くの子どもが通る道だと言われています。パパが嫌われたというより、娘が自分の世界をつくりはじめたサインです。
このとき、のぼせの状態が強いほど、パパは深く傷つきます。逆に、ふだんからA面の見方でバランスを整えていると、娘の変化を「成長」として受けとめやすくなります。
娘が離れていくのは、パパの愛情が足りなかったからではありません。安心して離れていけるだけの土台を、パパが育ててきたからです。
よくある質問

Q. 娘を溺愛するのは父親として普通ですか?
はい。娘を可愛いと思い、大切にしたいと感じるのは、とても自然なことです。
気にかけたいのは、愛情の大きさではなく偏りです。娘の機嫌で自分の気分が大きく揺れる、娘のことになると冷静でいられない。そんなときは、心が少しのぼせているサインかもしれません。
Q. 娘ばかり可愛がる夫にモヤモヤするときはどうすればいいですか?
まずは、モヤモヤする自分を責めなくて大丈夫です。
そのうえで、「娘ばかりでずるい」と責めるより、「わたしとの時間もほしい」「息子にも同じように接してほしい」と、自分の望みを具体的に伝えるほうが届きやすくなります。
夫の溺愛そのものにイライラが続くときは、B面の見方で、その言動に隠れたプラス面を探してみるのもひとつの方法です。
Q. 娘に「パパ嫌い」と言われてショックです
つらいですよね。可愛がってきた分だけ、ショックも大きいと思います。
多くの場合、それは娘が自分の世界をつくりはじめた成長のサインです。また、ショックの大きさは、それまでどれだけ心が浮き上がっていたかの裏返しでもあります。
「パパ嫌い」と言われた場面を、今度は反対にプラス面から見てみてください。娘が自分の気持ちを言えるようになったこと、自分の時間ができたことなど、見えてくるものがあるはずです。
Q. A面のワークはひとりでもできますか?
この記事の3ステップとワークシートを使えば、ひとりでも始めることができます。
ただ、可愛いと感じている相手ほど、マイナス面を見ることを心が拒みます。ステップ2で手が止まってしまう方がとても多いです。そんなときは、ファシリテーターと一緒に進めると、ひとりでは見えなかった面が見えてきます。
娘が可愛くて仕方ないパパへ
娘を可愛いと思う気持ちは、パパにとっても娘にとっても宝物です。
ただ、好きな面だけが大きく見えているとき、心はバランスを崩しています。先輩が博士に言われた「あなたは完全に心のバランスを崩している」というひとことは、愛情を否定する言葉ではなく、その愛情を長く守るための言葉だったのだと思います。
ひとりでマイナス面を探すのがむずかしいときは、誰かと一緒に探したほうが早いところだと思っています。
娘が可愛くて仕方ないパパの心理のまとめ
- 娘が可愛くて仕方ないのは、異性の子どもへの愛しさ・慕われる喜び・守りたい気持ちなどが重なっているから
- 可愛いと思う気持ちそのものは自然なもの。気をつけたいのは好きな面だけが大きく見える「のぼせ」の状態
- ディマティーニメソッドでは、好きな面だけを見ている状態も、心のバランスが崩れていると考える
- 先輩ファシリテーターは、娘さんが「パパ〜!」と慕ってくる瞬間に自分と娘さんのデメリットを考えて、心の昂りを下げていた
- A面の見方は場面を具体的に書く → 自分と娘のデメリットを探す → 自分の中の同じ面を探すの3ステップ
- 反抗期や巣立ちは、娘が安心して離れていける土台ができたサイン
娘への愛情を、娘が大人になっても心地よく続けていくために。
今日、娘さんが「パパ〜!」と駆け寄ってきたら、ほんの一瞬だけ、心のバランスに目を向けてみてくださいね。
娘への「可愛い」を、もっと穏やかな愛情に
娘さんへの大きな愛情はそのままに、ひとりでは見つけにくい「隠れたマイナス面」と心のバランスを、一緒に探します。
どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。無理な勧誘はいたしません。
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