「つらいはずなのに、涙が出てこない」
「いつも『大丈夫』と笑ってしまって、本当の気持ちがわからない」
「感情解放のワークをやってみたけれど、きつくて続けられなかった」
そんな思いで、この記事を開いてくださったのかもしれません。
こんにちは、看護師でライフコーチ、ディマティーニメソッドのファシリテーターの愛原百麗です。看護師として働いて、39年になります(2026年時点)。

じつは、わたし自身も、義父への怒りや、義母を亡くしたあとの罪悪感を、長いあいだ抱えていました。その気持ちがほどけたのは、感情を無理に出そうとしたときではなく、相手の両面が見えたときに、涙が自然にあふれてきたときでした。
この記事では、感情に蓋をしていないかのセルフチェックと、感情解放とは何か、ひとりでできる感情解放のやり方、そして感情解放が「きつい」ときの対処法をお伝えします。
先に結論をお伝えすると、感情解放とは、抑えこんできた感情を、安全な場所で少しずつ感じて、言葉にして、ほどいていくことです。大声で叫んだり、無理に泣いたりする必要はありません。体の感覚に気づき、感情に名前をつけ、書き出していく。そして、何度もくり返しわいてくる感情は、そのもとになっている出来事の両面を見ていくことで、自然に落ち着いていきます。
この記事では
・感情に蓋をしていないか(セルフチェック付き)
・感情解放とは|「出す」より「感じて、ほどく」
・感情解放のやり方|ひとりでできる5ステップ
・感情解放がきついのはなぜ?つらくなったときの対処法
・ディマティーニメソッドで見る感情解放
・書き込める『感情をほどくワークシート』
について解説します。
つらい記憶にふれる部分もあります。しんどくなったら、いつでも閉じて大丈夫ですからね。
無料PDFこの記事はワークシート付きです
記事の中でご紹介する『感情をほどくワークシート』(PDF・A4/2枚)を、無料でダウンロードできます。印刷して、そのまま書き込めます。
感情に蓋をしていませんか?抑圧された感情のサイン
感情に蓋をしているかどうかは、自分ではなかなか気づけません。蓋をすることが、すっかり当たり前になっているからです。まずは、いまのあなたの状態をチェックしてみましょう。
セルフチェック
感情に蓋をしていないか、チェックしてみましょう
あてはまるものに、チェックを入れてください(10問)。
※この結果は、ご自身の傾向をふり返るための目安です。医学的な診断ではありません。
チェックした項目は、次の5つのサインにわかれています。ひとつずつ見ていきましょう。
1. 体に不調が出ている
感じないようにしてきた感情は、消えてなくなるわけではありません。肩こり、頭痛、胃の痛み、眠りの浅さなど、体の不調として出てくることがあります。
緊張や不安が続くと、自律神経のうち、体を「たたかうモード」にする交感神経が働きつづけます。筋肉はこわばり、胃腸の動きは落ち、眠りも浅くなりがちです。東洋医学では、怒りは「肝」、悲しみは「肺」というように、感情と臓器を結びつけて考えてきました。
ただ、看護師として先にお伝えしたいのは、体の不調があるときは、まず内科などで体の病気がないかを確かめてほしいということです。「気持ちの問題だろう」と決めつけずに、体と心の両方から見ていきましょう。
2. 自分の気持ちがわからない
「どう思う?」と聞かれても、すぐに答えられない。つらいことがあっても、「大丈夫」「別に」と答えてしまう。感情に蓋をする時間が長くなると、自分が何を感じているのか、わからなくなることがあります。
感情に気づいたり、言葉にしたりするのが苦手な傾向を、心理学では「アレキシサイミア(失感情症)」と呼びます。名前は少しこわく聞こえますが、病名ではなく、誰にでも多かれ少なかれある性格の傾向のひとつです。
そして、つらい気持ちを感じないようにしていると、うれしい、楽しいといった気持ちまで、感じにくくなっていくものです。
3. 人の気持ちを優先する
頼まれると断れない。相手の機嫌が悪いと、自分が何とかしなければと思う。まわりに気を配れるやさしい人ほど、自分の「いや」「悲しい」「腹が立つ」を後回しにしがちです。
「わがままだと思われたくない」「嫌われたくない」。その思いが強いと、怒りや不満は、口に出す前に心の奥へしまわれていきます。けれども、「いや」が言えないと、「うれしい」「好き」も、なぜか言いにくくなっていくのです。
4. ときどき、感情があふれる・爆発する
ふだんは穏やかなのに、ささいなひと言で涙が止まらなくなる。小さなことで、自分でも驚くほど怒ってしまう。これは、抑圧された感情が、限界をこえてあふれ出しているサインかもしれません。
コップの水がいっぱいになると、最後の一滴であふれます。あふれたのは、その一滴のせいではなく、それまでためてきた水のせいなのです。
ドラマや映画ではよく泣くのに、自分のことでは泣けない、という方もいます。物語の中の悲しみなら、安全な距離から感じられるからです。それは、あなたの中に感じる力がちゃんと残っている、というしるしでもあります。
5. 「しっかりしなきゃ」で生きてきた
子どものころに「泣かないの」「怒らないの」と言われることが多かったり、親に心配をかけないように「いい子」でいたりすると、感情は出さないほうがいいものだと学んでいきます。
おとなになってからも、看護や介護、子育てなど、人を支える役割をになっていると、「わたしがしっかりしなきゃ」と気を張りつづけることになります。看護の仕事でも、患者さんやご家族の前では、涙をこらえることがあります。大切な人を亡くしたあと、まわりを気づかうあまり、泣く場所がどこにもないという方も少なくありません。
感情解放とは|抑えこんできた感情を「感じて、ほどく」こと

感情解放とは、抑えこんできた感情に気づき、安全な形で感じて、ほどいていくことです。英語では「エモーショナル・リリース(emotional release)」とも呼ばれ、カウンセリングや心理療法、ボディワークなど、さまざまな場面で使われている言葉です。
演劇や声優の世界でも「感情解放」という言葉が使われますが、そちらは役の感情を表現するためのトレーニングを指すことがほとんどです。この記事では、心のケアとしての感情解放をお伝えします。
まず知っておいてほしいのは、感情には「よい感情」「悪い感情」の区別はない、ということです。怒りは「大切なものが傷つけられた」、悲しみは「大切なものを失った」、不安は「大切なものを守りたい」というサインです。どの感情も、あなたが何を大切にしているかを教えてくれています。
「抑圧」と「我慢」のちがい
心理学では、感情を意識してこらえることを「抑制」、つらすぎる感情や記憶を、無意識のうちに感じないようにすることを「抑圧」と呼んで区別しています。
会議中に腹が立っても顔に出さない、というのは抑制です。おとなとして必要な力でもあります。一方の抑圧は、自分でも気づかないうちに起きています。「別に何とも思っていない」と本気で思っているのに、体がこわばっていたり、眠れなかったりするのです。
どちらも、そのときのあなたを守るための、大切な心の働きです。問題になるのは、それが長く続いて、感情とのつきあい方が「蓋をする」だけになってしまったときです。
感情を抑えつづけると、どうなる?
アメリカの心理学者グロスらの研究では、感情を表に出さないように抑えることが習慣になっている人ほど、ふだんから前向きな感情を感じることが少なく、つらい感情を多く感じていて、人とのつながりも感じにくい傾向があると報告されています。
感情を抑えつづけると起こりやすいこと
・肩こり、頭痛、胃の不調、眠りの浅さなど、体に不調が出る
・ある日突然、涙や怒りがあふれて止まらなくなる
・うれしい、楽しいといった気持ちも感じにくくなる
・本音を話せず、人との距離を感じやすくなる
感情に蓋をするのは、そのときを乗りこえるための知恵です。けれども、蓋をしたままの感情は、別の形で出口を探しつづけます。
感情解放は「大声で叫ぶこと」ではない
感情解放というと、「クッションをたたく」「大声で叫ぶ」といった方法を思い浮かべる方もいるかもしれません。
けれども、怒りについては注意が必要です。心理学者ブッシュマンの実験では、腹が立った相手のことを考えながらサンドバッグをたたいた人は、何もしなかった人よりも、そのあとの怒りや攻撃的な行動が、むしろ強くなっていました。怒りを「ぶつける」ことをくり返すと、かえって怒りを練習しているような状態になることがあるのです。
泣くことや、声を出すことが悪いわけではありません。大切なのは、感情を外にぶつけることではなく、自分の中にある感情を、ちゃんと感じて、言葉にすることです。
感情解放のやり方|ひとりでできる5ステップ
ここからは、ひとりでできる感情解放のやり方を、5つのステップでお伝えします。ノートとペンを用意して、体調のよい日に試してみてください。

はじめる前に
・1回は15分くらいまでにしましょう
・体調が悪い日や、お酒を飲んだあとは避けましょう
・事故や暴力など、命や安全がおびやかされた体験がある方、フラッシュバックがある方は、ひとりで深く掘り下げず、専門家と一緒に進めてください
ステップ1:安心できる時間と場所をつくる
感情は、安心できる場所でないと出てきません。ひとりになれる部屋で、明るいうちの時間を選びましょう。夜中にひとりで深い感情に向き合うと、気持ちが沈みやすくなります。
肩の力を抜いて、吐く息を長めにしながら、3回ほど深呼吸をします。終わったあとに温かいお茶を飲む、好きな音楽を聴くなど、自分をいたわる時間もセットにしておくと安心です。
ステップ2:体の感覚に気づく
感情は、頭よりも先に、体にあらわれます。いま気になっていることを思い浮かべて、体のどこに、どんな感じがあるかを探してみてください。
例:
・胸が、ぎゅっとしめつけられる
・のどが、つまったような感じがする
・おなかが、重く冷たい
・肩や奥歯に、力が入っている
感じた場所に、そっと手を当てて、「ここにあるんだね」と心の中で声をかけます。変えようとしなくて大丈夫です。ただ、そこにあることを認めてあげましょう。
ステップ3:感情に名前をつける
次に、その体の感じに、感情の名前をつけてみます。「わたしは今、悲しいと感じている」「悔しかったんだ」と、心の中で、または小さく声に出して言ってみましょう。
感情を言葉にすることを、心理学では「感情のラベリング」と呼びます。アメリカの研究では、感情を言葉にすると、不安や恐れにかかわる脳の扁桃体(へんとうたい)の反応がおだやかになることが確かめられています。
感情の名前のヒント
怒りイライラ悔しい悲しい寂しいむなしい不安こわい恥ずかしい申し訳ないうらやましいがっかり傷ついた疲れた
ひとつの出来事に、いくつもの感情がまざっていることもあります。たとえば、怒りの下に、「わかってほしかった」という悲しみや寂しさが隠れていることは、めずらしくありません。思いつくものを、いくつ書いてもかまいません。
ステップ4:紙に書き出す
感じたことを、紙に書き出していきます。アメリカの心理学者ペネベーカーらは、つらい体験とそのときの気持ちを、1日15分ほど、数日続けて書く方法を研究してきました。書いた直後は気分が落ちこむ人もいましたが、その後の数か月で、体調をくずして学内の保健センターをおとずれる回数が減っていたと報告されています。
書き出すときのコツ
・誰にも見せない前提で書く
・文章が整っていなくても、同じことを何度書いてもいい
・15分たったら、いったんペンを置く
・書き終えたら、破って捨ててもいい
相手に言えなかったことがあるなら、出さない手紙として書くのもおすすめです。「あのとき、本当はこう言いたかった」を、思いつくままに書いてみてください。
ステップ5:涙や声は、止めずに流す
書いているうちに、涙が出てきたり、ため息がもれたりすることがあります。そのときは、無理に止めずに流してあげてください。タオルを用意しておくと安心です。
反対に、涙が出なくても、まったく問題ありません。感情解放は、泣くことが目的ではないからです。「わたしは悲しかったんだ」と気づけた。それだけでも、閉じこめていた感情は、少しずつほどけはじめています。
終わったら、体をさすったり、温かいものを飲んだりして、自分をいたわる時間をとりましょう。
感情解放がきついのはなぜ?つらくなったときの対処法
「感情解放がきつい」「やってみたけれど、しんどくて続けられなかった」。感情解放について、とても多い悩みのひとつです。わたしのセッションを受けてくださった方からも、「深掘りは結構キツかった」という正直な声をいただいたことがあります。
きついと感じるのは、やり方が下手だからでも、あなたが弱いからでもありません。そこには、いくつかの理由があります。
理由1:長いあいだ閉じこめてきた感情が、一度にあふれてくるから
何年も蓋をしてきた感情は、蓋を少し開けただけで、思った以上の量があふれてくることがあります。ペネベーカーらの研究でも、つらい体験を書いた直後は、気分が落ちこんだり、血圧が上がったりする人がいました。感情にふれた直後に、一時的にしんどくなるのは、めずらしいことではないのです。
理由2:「感じてはいけない」というルールとぶつかるから
「怒ってはいけない」「親を悪く思ってはいけない」。小さいころから身につけてきたルールがあると、感情を感じた瞬間に、罪悪感がわいてきます。感情そのものよりも、「こんなことを感じるわたしは、ひどい人間だ」と責める気持ちが、きつさを大きくしていることも多いのです。
理由3:いきなり深い傷にふれているから
虐待、事故、災害、暴力など、命や安全がおびやかされた体験をひとりで掘り起こすと、当時の場面がありありとよみがえるフラッシュバックや、自分が自分でないような感覚(解離)が起きることがあります。
こうした体験については、ひとりで感情解放をしようとせず、心療内科や精神科、トラウマを専門にするカウンセラーなど、専門家と一緒に、少しずつ進めてください。
理由4:何度出しても、同じ感情がくり返しわいてくるから
泣いても、書いても、同じ人を思い出すたびに、同じ怒りや悲しみがわいてくる。そんなときは、感情を「出す」ことよりも、その感情のもとになっている「見方」に目を向けるタイミングかもしれません。これは、このあとの「ディマティーニメソッドで見る感情解放」でくわしくお伝えします。
感情解放がきついときの対処法

- いったん中断する:「今日はここまで」と声に出して、ノートを閉じます。続けなくて大丈夫です
- 「いま、ここ」にもどる:足の裏が床についている感じを確かめ、目に見えるものを5つ、声に出して言ってみます
- 体をあたためる:温かい飲み物を飲む、手をお湯につける、毛布にくるまる。体がゆるむと、心も落ち着いてきます
- 安心できる人に話す:答えをもらわなくてもかまいません。話すだけで、感情は少しずつ整理されていきます
- その日は、早めに休む:心が大きく動いたあとは、体も疲れています。家事も予定も、できるだけ軽くしましょう
「好転反応だから、つらくても続けたほうがいい」と言われることもありますが、看護師としては、すすめません。きついと感じたら、その日はそこまでで十分です。
看護師として伝えたい、受診の目安
次のような状態があるときは、ひとりで感情解放を続けるよりも、心療内科や精神科に相談してください。
・気分の落ちこみ、眠れない、食べられないといった状態が2週間以上続いている
・つらい場面がよみがえるフラッシュバックや、悪夢が続いている
・何も感じられない状態が続き、仕事や家事に支障が出ている
・涙や怒りをコントロールできず、家族や職場との関係に影響が出ている
・お酒や食べもの、買いものなどで気持ちをまぎらわせる量が増えている
受診は、弱さではありません。感情と向き合う力を取り戻すための、ひとつの手段です。
「消えてしまいたい」と感じるときは
あふれてきた感情に押しつぶされそうで、「消えてしまいたい」「いなくなったほうがいい」という気持ちが浮かぶときは、この記事のワークよりも先に、いますぐ誰かに話してください。
・よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
・いのちの電話(ナビダイヤル):0570-783-556
・#いのちSOS:0120-061-338
ディマティーニメソッドで見る感情解放|「出し切る」より「両面を見る」

感情解放のやり方を続けていても、同じ人や同じ出来事を思い出すたびに、何度でも同じ感情がわいてくることがあります。
わたしがファシリテーターを務めるディマティーニメソッドでは、怒りや悲しみといった強い感情は、人や出来事の片方の面だけを見ているときに生まれると考えます。相手のいやな面だけ、出来事のつらい面だけが見えているとき、心はつりあいを失って、大きくゆれるのです。
ですから、感情を出し切ることよりも、見えていなかったもう片方の面に、光をあてていくことを大切にします。両方の面が同じくらい見えてきたとき、感情は無理に出そうとしなくても、自然に落ち着いていきます。先ほどのグロスらの研究でも、感情を抑えこむのではなく、出来事のとらえ方を見直す人ほど、心の健康がよい傾向が報告されています。
これは、感情を「なかったこと」にする方法ではありません。感情をしっかり感じたうえで、その感情を生んでいる見方を、広げていく方法です。
義父への怒りが、涙とともに「ありがとう」に変わった
わたしの義父はアルコール依存症で、毎日のように怒鳴っていました。わたしの信仰を批判されることもありました。義父が病気になり、在宅での介護が必要になったとき、わたしには介護に向き合うことへの心のブロックがありました。
そこでわたしは、ディマティーニメソッドのB面に取り組みました。相手の嫌いなところが、じつは自分にどんな利益をもたらしていたのかを見つけて、恨みをほどいていくワークです。
ワークを進めるうちに、わたしは「義父なりに、わたしを守ろうとしていた」と気づき、号泣しました。義父は自宅で8か月を過ごし、亡くなる間際に「ありがとう」と言って、何度もわたしの手を握ってくれました。
あのときの涙は、出そうとして出したものではありません。義父の両面が見えたときに、自然にあふれてきたものでした。
義母を亡くして、毎日泣いていたころ
2023年8月に義理の母を亡くしたあと、わたしは「家で過ごしたいという願いを叶えてあげられなかった」という罪悪感で、毎日泣いて過ごしていました。泣いてばかりで仕事にも集中できず、食欲もなくなっていました。泣く日が続いても、罪悪感は消えずに残っていました。
その年のBTE(ドクター・ディマティーニ本人が行うセミナー)で、わたしはオンラインで、ドクター・ディマティーニから直接セッションを受けることができました。「失った」「得た」という感じ方を扱う「C面」のセッションです。義母からずっと受けとっていたものが見えてきたとき、身体が震えるほどの感謝の涙があふれてきました。
セッションを受けてくださった方からも、こんな声をいただいています。
あれだけ嫌だと思っていたことがセッション後はその感情が無いことに気づき、ただ事実があっただけだと思えるまでに落とし込めることができました。
じゅんべ(50代)
父に関しては、常日頃から無の感情しか出てこないという感じでした。でも今は感謝の気持ちが心から湧いてきて、いつもにっこり笑ってそばで見守ってくれている安心感があります。
まきちゃん(40代)
※個人の感想です。感じ方は人それぞれで、同じ結果をお約束できるものではありません。
ひとりでできる「両面を見る」ワーク
何度もくり返しわいてくる感情があるときは、次の順番で書き出してみてください。
- 感情がわいてくる相手(または出来事)を、ひとつ選ぶ
- いまの感情の強さを、0〜10でつける
- その人のいやなところ、出来事のつらい面を、具体的に書く
- そのいやなところやつらい面が、あなたにもたらしたものを、同じ数になるまで探す
- 書き終えたら、もう一度、感情の強さを0〜10でつける
例:わたしの話を、いつも否定してくる母
→ つらい面:自分に自信がもてなくなった/本音を言えなくなった
→ わたしにもたらしたもの:自分で調べて決める力がついた/人の気持ちの変化に気づけるようになり、仕事で活きている/「わたしは子どもの話を否定しない」と決められた
最初は、なかなか出てこないと思います。それで大丈夫です。感情が強いほど、つらい面ばかりが大きく見えるからです。つらい面と同じくらいの数になるまで、ゆっくり探してみてください。
※いまも暴力や暴言を受けている関係では、まず相手から離れて、安全を確保することがいちばんです。両面を見るのは、相手の行為を正当化するためではありません。
参考
- Gross, J. J., & John, O. P. (2003). Individual differences in two emotion regulation processes: Implications for affect, relationships, and well-being. Journal of Personality and Social Psychology, 85(2), 348–362.
- Bushman, B. J. (2002). Does venting anger feed or extinguish the flame? Catharsis, rumination, distraction, anger, and aggressive responding. Personality and Social Psychology Bulletin, 28(6), 724–731.
- Lieberman, M. D., et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421–428.
- Pennebaker, J. W., & Beall, S. K. (1986). Confronting a traumatic event: Toward an understanding of inhibition and disease. Journal of Abnormal Psychology, 95(3), 274–281.
- 厚生労働省「こころの耳」「うつ病の主な症状と原因」
- Dr. John Demartini 公式サイト(日本語)
感情をほどくワークシート(無料PDF)
この記事でご紹介した方法を、そのまま試せるワークシートを用意しました。印刷して、書き込んで使えます。
1枚目は「感情を感じる」です。いま気になっている出来事、体の感覚、感情の名前、感情の強さ(0〜10)を書き、15分の書き出し欄に、思いつくままに書いていきます。
2枚目は「両面を見る」です。くり返し感情がわいてくる相手や出来事の、つらい面と、それがあなたにもたらしたものを、同じ数だけ書き出します。最後に、もう一度感情の強さを記録します。
無料ダウンロード
感情をほどくワークシート(PDF・A4/2枚)
1枚目は「感情を感じる」。体の感覚、感情の名前と強さを書き、15分の書き出しをします。2枚目は「両面を見る」。くり返し感情がわいてくる相手や出来事の、つらい面と、それがあなたにもたらしたものを、同じ数だけ書き出します。
※2枚目の「両面を見る」は、ディマティーニメソッドの考え方をもとにした愛原百麗オリジナルのものです(公式教材ではありません)。
よくある質問

Q. 感情解放とは、かんたんに言うと何ですか?
抑えこんできた怒りや悲しみなどの感情に気づき、安全な形で感じて、ほどいていくことです。大声で叫ぶことや、無理に泣くことではありません。体の感覚に気づく、感情に名前をつける、書き出すといった、静かな方法でも十分にできます。
Q. 感情解放で泣くのは、いいことですか?
涙が出てきたら、無理に止めずに流してあげてください。泣いたあとに、気持ちが少し軽くなる方は多いものです。ただ、感情解放は泣くことが目的ではありません。涙が出なくても、「わたしはこう感じていたんだ」と気づけたなら、それで十分です。
Q. 感情解放の「好転反応」はありますか?
感情に向き合ったあと、一時的に疲れたり、気分が落ちこんだりすることは、実際にあります。けれども、「好転反応だから」と、つらさを我慢して続ける必要はありません。数日たっても気分が戻らない、眠れない日が続くときは、いったん中断して、必要に応じて医療機関に相談してください。
Q. EFT(感情解放テクニック)とは何ですか?
EFT(Emotional Freedom Techniques)は、顔や手のツボを指先で軽くたたきながら、つらい感情や出来事に意識を向けて、言葉をとなえる方法です。日本では「感情解放テクニック」とも呼ばれています。研究も行われていますが、効果の評価はまだ分かれています。試すときは、トラウマにかかわる深いテーマはひとりで扱わないようにしましょう。
Q. 感情解放のセラピーやワークショップを選ぶときの注意点は?
無理に感情を引き出そうとしないこと、つらくなったら途中でやめられること、高額な契約を急がせないこと。この3つを確かめてください。トラウマにかかわる悩みや、心身の不調が強いときは、まず心療内科や精神科、公認心理師・臨床心理士のいる相談機関に相談するのが安心です。
Q. 演劇の「感情解放」とはちがうのですか?
演劇や声優のレッスンでいう「感情解放」は、役の感情を、体や声で表現できるようにするためのトレーニングです。この記事でお伝えしているのは、ふだんの暮らしの中で抑えこんできた自分自身の感情に気づき、ほどいていく、心のケアとしての感情解放です。
感情を抑えてきたあなたへ
感情に蓋をしてきたのは、あなたが弱かったからではありません。そうしなければ乗りこえられない時間を、懸命に生きてきたからです。
その蓋は、無理にこじ開けなくて大丈夫です。今日は、体のどこかにある小さな感覚に気づくだけでも、十分な一歩です。
そして、何度もくり返しわいてくる感情は、そのもとにある出来事の、もう片方の面を見つけることで、少しずつ落ち着いていきます。ひとりでは、もう片方の面がなかなか見つからないこともあります。そんなときは、誰かと一緒に探したほうが見つかりやすくなります。
感情解放とは|まとめ
- 感情解放とは、抑えこんできた感情に気づき、安全な形で感じて、ほどいていくこと。大声で叫んだり、無理に泣いたりすることではない
- 抑圧された感情のサインは、体の不調・自分の気持ちがわからない・人を優先する・ときどき感情があふれる・「しっかりしなきゃ」の5つ
- 感情を抑えつづけると、うれしい・楽しいも感じにくくなる。怒りは「ぶつける」と、かえって強まることがある
- 感情解放のやり方:安心できる場をつくる・体の感覚に気づく・名前をつける・書き出す・涙は止めずに流す
- きついときは、いつでも中断していい。落ちこみや不眠が2週間以上続く、フラッシュバックがあるときは心療内科・精神科へ
- 何度もくり返しわいてくる感情は、出し切るより、出来事の両面を見ることで自然に落ち着いていく
今日は、ワークシートの1枚目に、いま体のどこに、どんな感じがあるかだけを書いてみてください。
閉じこめてきた感情を、一緒にほどいていきませんか
わたし自身も、義父への怒りや、義母を亡くしたあとの罪悪感でいっぱいだった時期があります。感情のもとにある出来事のもう片方の面は、ひとりではなかなか見えないものです。ひとりで抱えなくて大丈夫です。
まずは無料のZoom相談(30分)で、お話ししてみませんか。無理な勧誘はいたしません。
愛原百麗 公式LINE
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