「6秒数えても、怒りがまったくおさまらない」
「アンガーマネジメントの本を読んだのに、またカッとなって、言いすぎてしまった」
「その場では我慢できても、夜になると思い出して、また腹が立つ」
そんな自分に、うんざりしていませんか。
こんにちは、看護師でライフコーチ、ディマティーニメソッドのファシリテーターの愛原百麗です。看護師として働いて、39年になります(2026年時点)。

じつは、わたし自身も、怒りを手放せずにいた時期があります。相手は、アルコール依存症で、毎日のように怒鳴っていた義父です。義父の介護が必要になったときも、素直に向き合えない心のブロックがありました。その怒りがほどけたのは、怒りを抑えこもうとしたときではなく、義父の両面が見えたときでした。
この記事では、アンガーマネジメントができない、6秒でおさまらないと感じるあなたに、うまくいかない理由がわかるセルフチェックと、6秒ルールが効かない理由、6秒でおさまらない怒りの対処法をお伝えします。
先に結論をお伝えすると、アンガーマネジメントができないのは、あなたの意志が弱いからでも、性格が悪いからでもありません。「6秒待つ」は、カッとなった瞬間に、反射的に言い返したり手を出したりしないための時間かせぎで、怒りそのものを消す方法ではないからです。6秒でおさまらない怒りには、体の余裕のなさや、怒りの下にかくれた気持ちなど、ちゃんと理由があります。理由に合わせて「その場」と「あとから」の対処を分けること。そして、何度もわいてくる怒りは、相手の両面を見ていくことで、自然に落ち着いていきます。
この記事では
・アンガーマネジメントができない5つの理由(セルフチェック付き)
・「6秒ルール」が効かない・意味ないと感じるのはなぜ?
・6秒でおさまらない怒りの対処法|「その場」と「あとから」
・看護師として伝えたい、受診・相談の目安
・ディマティーニメソッドで見る怒り
・書き込める『怒りをほどくワークシート』
について解説します。
怒ってしまった自分を責めながら、この記事を開いてくださった方もいるかもしれません。怒りは、悪い感情ではありません。そのことも、あわせてお伝えしていきますね。
セルフチェックこの記事はセルフチェック付きです
アンガーマネジメントがうまくいかない理由を、10問でチェックできます。チェックを入れるだけで、いまのあなたに合った読み進め方がわかります。
無料PDFこの記事はワークシート付きです
記事の中でご紹介する『怒りをほどくワークシート』(PDF・A4/2枚)を、無料でダウンロードできます。印刷して、そのまま書き込めます。
アンガーマネジメントができないのはなぜ?5つの理由をチェック
アンガーマネジメントがうまくいかないのには、理由があります。まずは、いまのあなたにあてはまるものをチェックしてみましょう。
セルフチェック
アンガーマネジメントがうまくいかない理由をチェック
あてはまるものに、チェックを入れてください(10問)。
※この結果は、ご自身の傾向をふり返るための目安です。医学的な診断ではありません。
チェックした項目は、次の5つの理由にわかれています。ひとつずつ見ていきましょう。

1. 体に余裕がない(寝不足・空腹・疲れ)
同じことを言われても、よく眠れた日なら笑って流せるのに、寝不足の日はカッとなる。そんな経験はありませんか。
アメリカのアイオワ州立大学の研究では、2晩続けて睡眠を4時間半ほどに減らした人たちは、ふだんどおり眠った人たちよりも、不快な音を聞かされたときの怒りが強くなりました。ふつうは同じ音に慣れて、怒りが弱まっていきます。ところが寝不足のグループでは、その「慣れ」が起きなかったのです。
空腹も同じです。英語には、「hungry(おなかがすいた)」と「angry(怒った)」を合わせた「hangry」という言葉があるほどです。64人の毎日の気分を3週間調べた研究でも、空腹を強く感じているときほど、怒りやイライラが強いという関係が見られました。
体に余裕がないと、心のブレーキは効きにくくなります。アンガーマネジメントがうまくいかないのは、テクニックの問題ではなく、ブレーキを踏む力そのものが残っていないからかもしれません。
看護師として:怒りっぽさの裏に、体の状態がかくれていることも
・生理前に毎月イライラが強くなる(月経前症候群・月経前不快気分障害)
・40代以降で、ほてりや眠りの変化と一緒に気分の波がある(更年期)
・動悸や汗、体重の変化、だるさが一緒にある(甲状腺の病気など)
・痛みや持病で、ずっと体がつらい
・お酒の量が増えている、新しい薬を飲みはじめた
こうしたときは、婦人科や内科で相談できます。「わたしの性格の問題」と決めつける前に、体をいたわってあげてくださいね。
2. 怒りの下に、別の気持ちがかくれている
アンガーマネジメントでは、怒りを「二次感情」と呼ぶことがあります。怒りの下には、悲しい、寂しい、不安、悔しい、恥ずかしいといった「一次感情」がかくれている、という考え方です。

たとえば、帰りが遅い家族に「連絡くらいしなさい!」と怒鳴ってしまったとき。その下にあったのは、「何かあったのでは」という不安だったかもしれません。手伝ってくれない夫への怒りの下には、「わかってほしい」という寂しさがあるのかもしれません。
怒りだけをどうにかしようとしても、下にある気持ちが置きざりのままだと、同じ怒りが何度でもわいてきます。反対に、怒りの下の気持ちに名前をつけると、怒りはしずまりやすくなります。感情を言葉にすると、不安や恐れにかかわる脳の扁桃体(へんとうたい)の反応がおだやかになることも、研究で確かめられています。
3. 「〜するべき」が強い
「約束は守るべき」「家族なら手伝うべき」「ふつうは、ひと言あるでしょ」。アンガーマネジメントでは、こうした「〜するべき」が裏切られたときに、怒りが生まれると考えます。
「べき」そのものが悪いわけではありません。「べき」の奥には、あなたが大切にしていることがあるからです。時間を守ることを大切にしている人は、遅刻に腹が立ちます。家族で支え合うことを大切にしている人は、手伝わない家族に腹が立ちます。
ディマティーニメソッドでは、人が何を大切にしているかの順番を「価値の序列」(価値観の優先順位)と呼びます。人は、自分の価値の序列の上位にあるものを、相手が軽く扱ったときに、強い怒りを感じます。けれども、相手には相手の価値の序列があります。相手はあなたを傷つけようとしたのではなく、大切にしているものの順番が、ちがっただけということも少なくないのです。
4. 何度も思い出してしまう(思い出し怒り)
その場では落ち着いたのに、夜、ふとんに入ってから思い出して、また腹が立つ。何日も前のことなのに、頭の中で同じ場面が何度も再生される。こうした「思い出し怒り」に悩んでいる方は、とても多いものです。
腹が立った出来事を何度も思いかえすことを、心理学では「反すう」と呼びます。アメリカの心理学者ブッシュマンらの実験では、腹が立った出来事について考えつづけた人は、気をそらした人よりも、そのあとの小さなことで、関係のない相手に八つ当たりしやすくなりました。
思い出すたびに、怒りは新しく燃えなおします。6秒でおさまらないのは当然で、時間がたつほど、怒りが大きくなることさえあるのです。
5. 我慢して、ため込んでいる
「怒ってはいけない」「わたしさえ我慢すれば」。そうやって言いたいことを飲みこむ毎日が続くと、怒りは消えずに、心の中にたまっていきます。
コップの水がいっぱいになると、最後の一滴であふれます。家族のささいなひと言で爆発してしまうのは、その一滴のせいではなく、それまでためてきた水のせいです。そして爆発したあとは、「またやってしまった」と自己嫌悪におちいり、さらに我慢を重ねる。この「我慢 → 爆発 → 自己嫌悪」のくり返しに、いちばん疲れている方も多いのです。
アメリカの心理学者グロスらの研究では、感情を表に出さないように抑えることが習慣になっている人ほど、ふだんからつらい感情を多く感じていて、人とのつながりも感じにくい傾向がありました。アンガーマネジメントは、怒りを我慢するための方法ではありません。
アンガーマネジメントの「6秒ルール」が効かない・意味ないと感じるのはなぜ?
アンガーマネジメントでいちばん有名なのが、「怒りを感じたら、6秒待つ」という6秒ルールです。けれども、「6秒数えてもおさまらない」「数えているうちに、かえって腹が立ってくる」という声は、とても多いものです。
6秒ルールは「怒りを消す方法」ではない
6秒ルールは、「怒りのピークは長くても6秒ほど」という考え方から、カッとなった瞬間に、反射的に言い返したり、手を出したりしないための方法として広まりました。
ただ、6秒という数字は、あくまで目安です。6秒たてば怒りがなくなる、というはっきりした研究の裏づけがあるわけではありません。6秒ルールは、その場で取り返しのつかないことを言ったりしたりしないための「時間かせぎ」と考えてください。
ですから、6秒でおさまらないのは、あなたのやり方が悪いからではありません。もともと、6秒で落ち着く怒りと、6秒では消えない怒りがあるのです。
6秒で落ち着く怒り、消えない怒り
・6秒で落ち着きやすい怒り:足をふまれた、急に割りこまれた、など、とっさに体が反応する怒り
・6秒では消えない怒り:「大切にされていない」「どうしても許せない」など、考えるほど強くなる怒り。先ほどの5つの理由が、いくつも重なっていることが多い
とっさの怒りなら、6秒待つことで、言いすぎや手を出すことを防げます。けれども、考えるほど強くなる怒りは、6秒たっても、6分たっても消えません。こちらは、その場をしのいだあと、「あとから」ほどいていく必要があります。
アンガーマネジメントは「意味ない」のか
「アンガーマネジメントは意味ない」と感じたときは、次のような思いちがいがないか、ふり返ってみてください。
・怒らない人になるための方法だと思っている
・6秒待てば、怒りが消えると思っている
・その場の対処だけで、終わらせている
アンガーマネジメントは、本来、怒らないようにする方法ではなく、怒りと上手につきあう方法です。怒るべきときには、相手を傷つけない形で、きちんと伝える。それも大切な目的のひとつです。怒りへの認知行動療法の研究をまとめた分析でも、一定の効果が報告されています。
合わなかったのは、アンガーマネジメントそのものではなく、いまのあなたの怒りに合う方法を、まだ選べていなかっただけかもしれません。
6秒でおさまらない怒りの対処法|「その場」と「あとから」に分ける
ここからは、6秒でおさまらない怒りの対処法を、「その場」と「あとから」に分けてお伝えします。その場では、言いすぎたり手を出したりしないことだけを考えます。怒りをほどくのは、落ち着いてからで大丈夫です。

その場で1:その場を離れる
6秒数えるより確実なのが、物理的に離れることです。トイレに行く、ベランダに出る、飲みものを取りに行く。怒りの相手が目の前からいなくなるだけで、反応はひと段落します。
「ちょっと頭を冷やしてくるね」「少し考えてから話すね」と、言う言葉をあらかじめ決めておくと、相手を置きざりにした印象になりにくく、安心です。
その場で2:吐く息を長くする
怒りを感じると、心臓がドキドキして、呼吸が浅く速くなります。体が「たたかうモード」に入っているサインです。4つ数えながら鼻から吸い、8つ数えながら、口からゆっくり吐いてみてください。吐く息を長くすると、体をリラックスさせる副交感神経が働きやすくなります。3回くり返すだけでも、肩の力が抜けてきます。
その場で3:「いま、わたしは怒っている」と言葉にする
心の中で、「いま、わたしは怒っている」とつぶやきます。「あの人がひどい」ではなく、「わたしが怒っている」と言葉にするのがポイントです。怒りに飲みこまれている状態から、怒っている自分を見ている状態へ、一歩下がることができます。
怒りの強さに、0〜10で点数をつけるのもおすすめです。「いまは7くらい」と数字にするだけで、頭の冷静な部分が働きはじめます。
あとから1:紙に書いて、捨てる
少し落ち着いたら、腹が立ったことを紙に書き出します。誰にも見せない前提で、思いつくまま書いてかまいません。
名古屋大学の研究グループは2024年、怒りを書いた紙を捨てると、怒りがほぼ消えるという実験結果を発表しました。わざと侮辱的な評価を受けて腹を立てた学生たちが、そのときの気持ちを紙に書き、丸めてごみ箱に捨てたり、シュレッダーにかけたりすると、怒りは元の落ち着いた状態まで下がりました。一方、書いた紙を手もとに残した人たちでは、怒りはあまり下がりませんでした。
書いたら、丸めて、ごみ箱へ。「書く」と「捨てる」はセットにしましょう。
※クッションをたたく、大声で叫ぶといった「怒りをぶつける」発散法には、注意が必要です。腹が立った相手のことを考えながらサンドバッグをたたいた人は、何もしなかった人よりも、そのあとの怒りや攻撃的な行動が、むしろ強くなっていたという実験があります。
あとから2:怒りの下の気持ちを探す
書き出したものを見ながら、「この怒りの下に、どんな気持ちがあるだろう」と探してみます。悲しい、寂しい、不安、悔しい、恥ずかしい、わかってほしい……。
見つかったら、「わたしは、本当は〇〇だったんだ」と言葉にしてみてください。もし相手に伝えるなら、怒りではなく、この下の気持ちを伝えるほうが、ずっと届きやすくなります。「なんで連絡しないの!」ではなく、「連絡がなくて、心配だった」と。
あとから3:寝る・食べる・休む
そして、体を整えることです。寝不足の日に、むずかしい話し合いをしない。おなかがすいているときに、大事な返事をしない。それだけでも、怒りで後悔する場面は、ぐっと減ります。
思い出し怒りが止まらないときは
何度も思い出してしまうときは、その場面を「少し離れたところから見ている自分」を想像してみてください。部屋の天井から、あるいは壁にとまった虫の目から、そのときの自分と相手を見おろすようなイメージです。
アメリカの心理学者クロスらの研究では、腹が立った出来事を、自分の目線のまま思い出した人よりも、少し離れた視点から見なおした人のほうが、気持ちや体の反応がおだやかだったと報告されています。
それでも、同じ相手のことを何度も思い出してしまうときは、このあとの「ディマティーニメソッドで見る怒り」も読んでみてください。
看護師として伝えたい、受診・相談の目安
次のようなときは、ひとりでアンガーマネジメントを続けるよりも、心療内科や精神科に相談してください。
・怒りで物を壊す、人に手をあげる。または、そうなりそうでこわい
・怒ったあとに、強い落ちこみや、何も手につかない状態が続く
・気分の落ちこみ、眠れない、食べられないといった状態が2週間以上続いている
・ここ最近、急に怒りっぽくなった(家族からそう言われる)
・お酒を飲むと人が変わると言われる。お酒の量が増えている
怒りっぽさは、うつ病や双極性障害、ADHD、更年期障害、甲状腺の病気など、さまざまな病気のサインとしてあらわれることもあります。ご家族が急に怒りっぽくなったときも、「性格が変わった」と決めつけずに、一度、医療機関で相談してみてください。
受診は、弱さではありません。怒りと上手につきあう力を取りもどすための、ひとつの手段です。
「手をあげてしまいそう」「暴力を受けている」ときは
家族やパートナーに手をあげてしまいそうなとき、反対に、身近な人の怒りや暴力におびえているときは、この記事のワークよりも先に、相談窓口に連絡してください。
・DV相談ナビ:#8008(お近くの配偶者暴力相談支援センターにつながります)
・DV相談+(プラス):0120-279-889(24時間・無料)
・児童相談所 虐待対応ダイヤル:189(子どもにかかわる相談)
・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
ディマティーニメソッドで見る怒り|怒りは「片方の面」しか見えていないサイン

その場を離れることや深呼吸は、怒りをしのぐためには役に立ちます。けれども、同じ人や同じ出来事を思い出すたびに、何度でも怒りがわいてくるときは、もう少し根っこのほうに目を向ける必要があります。
わたしがファシリテーターを務めるディマティーニメソッドでは、強い怒りは、相手や出来事の「いやな面」だけが見えているときに生まれると考えます。そして、自分が大切にしているもの(価値の序列)を、相手にも同じように大切にしてほしいと期待するとき、その期待が裏切られて、怒りになります。
ですから、怒りを抑えこむのではなく、見えていなかったもう片方の面に、光をあてていきます。相手のいやなところが、じつは自分に何をもたらしていたのか。相手は、何を大切にしてそうしていたのか。両方の面が同じくらい見えてきたとき、怒りは、我慢しなくても自然に落ち着いていきます。先ほどのグロスらの研究でも、感情を抑えこむのではなく、出来事のとらえ方を見なおす人ほど、心の健康がよい傾向が報告されています。
義父への怒りが、「ありがとう」に変わった
わたしの義父はアルコール依存症で、毎日のように怒鳴っていました。わたしが大切にしていた信仰を、批判されたこともあります。義父が病気になり、在宅での介護が必要になったとき、わたしには介護に向き合うことへの心のブロックがありました。
そこでわたしは、ディマティーニメソッドのB面に取り組みました。相手の嫌いなところが、じつは自分にどんな利益をもたらしていたのかを見つけて、恨みをほどいていくワークです。
怒鳴る姿や、信仰への批判と向き合っていくうちに、わたしは「義父は義父なりに、わたしを守ろうとしていたのだ」と気づき、号泣しました。義父は自宅で8か月を過ごし、亡くなる間際に「ありがとう」と言って、何度もわたしの手を握ってくれました。
怒りを我慢したのでも、無理に許そうとしたのでもありません。義父の両面が見えたとき、怒りは自然に、感謝へと変わっていったのです。
セッションを受けてくださった方からも、こんな声をいただいています。
相手の悪いと思ってる部分をわたしはもっていて、皆持っていて、ただそれだけなんだ、と思いました。自分は自分を愛せてなかったんだということに気づけました。
30代・匿名希望
今回はセルフDMを何度してもインスピレーションの涙には到達できなかった上司との関係についてセッションして頂きました。色々考えがまとまらなかったのですが、愛原さんのファシリテーションのお陰でその上司に感謝できるようになりました。
まき(40代)
あれだけ嫌だと思っていたことがセッション後はその感情が無いことに気づき、ただ事実があっただけだと思えるまでに落とし込めることができました。
じゅんべ(50代)
※個人の感想です。感じ方は人それぞれで、同じ結果をお約束できるものではありません。
ひとりでできる「両面を見る」ワーク
何度も怒りがわいてくる相手がいるときは、次の順番で書き出してみてください。
- 怒りがわいてくる相手(または出来事)を、ひとつ選ぶ
- いまの怒りの強さを、0〜10でつける
- その人の腹が立つところを、具体的に書く
- その腹が立つところが、あなたにもたらしたものを、同じ数になるまで探す
- 相手は何を大切にして、そうしていたのかを想像して書く
- 書き終えたら、もう一度、怒りの強さを0〜10でつける
例:約束をすぐに忘れる夫
→ 腹が立つところ:予定がくるう/大切にされていないと感じる
→ わたしにもたらしたもの:自分で段取りを組む力がついた/ひとりの時間を楽しめるようになった/「人はまちがえるもの」と子どもに見せられた
→ 夫が大切にしていること:仕事で結果を出すこと。だから、家のことには目が向きにくい
最初は、なかなか出てこないと思います。それで大丈夫です。怒りが強いほど、いやな面ばかりが大きく見えるからです。腹が立つところと同じくらいの数になるまで、ゆっくり探してみてください。
※いまも暴力や暴言を受けている関係では、まず相手から離れて、安全を確保することがいちばんです。両面を見るのは、相手の行為を正当化するためではありません。
参考
- Krizan, Z., & Hisler, G. (2019). Sleepy anger: Restricted sleep amplifies angry feelings. Journal of Experimental Psychology: General, 148(7), 1239–1250.
- Swami, V., Hochstöger, S., Kargl, E., & Stieger, S. (2022). Hangry in the field: An experience sampling study on the impact of hunger on anger, irritability, and affect. PLOS ONE, 17(7), e0269629.
- Lieberman, M. D., et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421–428.
- Bushman, B. J., Bonacci, A. M., Pedersen, W. C., Vasquez, E. A., & Miller, N. (2005). Chewing on it can chew you up: Effects of rumination on triggered displaced aggression. Journal of Personality and Social Psychology, 88(6), 969–983.
- Gross, J. J., & John, O. P. (2003). Individual differences in two emotion regulation processes: Implications for affect, relationships, and well-being. Journal of Personality and Social Psychology, 85(2), 348–362.
- Beck, R., & Fernandez, E. (1998). Cognitive-behavioral therapy in the treatment of anger: A meta-analysis. Cognitive Therapy and Research, 22(1), 63–74.
- Kanaya, Y., & Kawai, N. (2024). Anger is eliminated with the disposal of a paper written because of provocation. Scientific Reports, 14.
- Bushman, B. J. (2002). Does venting anger feed or extinguish the flame? Catharsis, rumination, distraction, anger, and aggressive responding. Personality and Social Psychology Bulletin, 28(6), 724–731.
- Kross, E., Ayduk, O., & Mischel, W. (2005). When asking "why" does not hurt: Distinguishing rumination from reflective processing of negative emotions. Psychological Science, 16(9), 709–715.
- 内閣府男女共同参画局「DV相談について」
- Dr. John Demartini 公式サイト(日本語)
怒りをほどくワークシート(無料PDF)
この記事でご紹介した方法を、そのまま試せるワークシートを用意しました。印刷して、書き込んで使えます。
1枚目は「怒りを見つめる」です。腹が立った出来事と怒りの強さ(0〜10)、そのときの体の状態、怒りの下にある気持ち、あなたの「〜するべき」と大切にしていること、本当はどうしてほしかったかを書きます。
2枚目は「両面を見る」です。何度も思い出しては腹が立つ相手の、腹が立つところと、それがあなたにもたらしたものを、同じ数だけ書き出します。相手が大切にしていることも書いて、最後にもう一度、怒りの強さを記録します。
無料ダウンロード
怒りをほどくワークシート(PDF・A4/2枚)
1枚目は「怒りを見つめる」。怒りの強さ、体の状態、怒りの下の気持ち、あなたの「〜するべき」を書きます。2枚目は「両面を見る」。何度も腹が立つ相手の、腹が立つところと、それがあなたにもたらしたものを、同じ数だけ書き出します。
※2枚目の「両面を見る」は、ディマティーニメソッドの考え方をもとにした愛原百麗オリジナルのものです(公式教材ではありません)。
よくある質問

Q. アンガーマネジメントの6秒ルールは嘘なのですか?
嘘というより、「6秒で怒りが消える」と誤解されやすい方法です。6秒ルールは、カッとなった瞬間に、反射的な言動をしないための時間かせぎです。6秒という数字にはっきりした研究の裏づけがあるわけではないので、目安と考えてください。考えるほど強くなる怒りは、6秒では消えません。その場を離れ、落ち着いてから、怒りの下の気持ちや「〜するべき」を見ていくことが大切です。
Q. アンガーマネジメントの「3つのコントロール」とは何ですか?
アンガーマネジメントでは、怒りを「衝動」「思考」「行動」の3つの面からコントロールすると説明されます。衝動のコントロールは、カッとなった瞬間に反射しないこと(6秒ルールなど)。思考のコントロールは、自分の「〜するべき」を見なおすこと。行動のコントロールは、変えられることと変えられないことを分けて、何をするかを選ぶことです。この記事の対処法も、この3つにそっています。
Q. アンガーマネジメントができない人の特徴は?
寝不足や疲れで体に余裕がない人、怒りの下の気持ちに気づきにくい人、「〜するべき」が強いまじめな人、思い出し怒りをしやすい人、我慢してため込みやすい人は、うまくいかないことが多いようです。どれも性格の欠点ではなく、責任感や、まわりへの気づかいの裏返しでもあります。この記事のセルフチェックで、あてはまる理由を確かめてみてください。
Q. 怒りを抑えられないのは病気ですか?何科に相談すればいいですか?
怒りっぽさの多くは、ストレスや疲れ、睡眠不足からくるものです。ただ、うつ病や双極性障害、ADHD、更年期障害、甲状腺の病気などが背景にあることもあります。物を壊す・手をあげてしまう、急に怒りっぽくなった、落ちこみや不眠が続くといったときは、心療内科や精神科に相談してください。生理前に毎月強くなる場合は、婦人科でも相談できます。
Q. 怒りは我慢したほうがいいのですか?
我慢しつづけると、怒りは消えずにたまり、あるとき爆発しやすくなります。かといって、相手にぶつけたり、物に当たったりすると、怒りはかえって強まりやすくなります。その場では距離をとり、あとから紙に書く、下の気持ちを言葉にするなど、安全な形でほどいていくのがおすすめです。伝えたいことは、落ち着いてから「わたしは〜してほしい」の形で伝えましょう。
Q. 怒りを落ち着ける言葉はありますか?
自分が落ち着ける短い言葉を、前もって決めておく方法があります。たとえば「まあ、いいか」「これで命までとられるわけじゃない」「いま、わたしは怒っている」など。カッとなったときに心の中で唱えると、反射的な言動を防ぎやすくなります。ふだんから口ぐせにしておくと、いざというときに出てきやすくなります。
怒ってしまう自分を責めているあなたへ
怒ってしまったあと、自分を責めて、眠れない夜を過ごしたこともあるかもしれません。
でも、怒りは悪い感情ではありません。あなたが大切にしているものを、守ろうとしたサインです。まじめで、責任感が強くて、まわりのために我慢してきた人ほど、怒りはたまりやすいものです。
6秒でおさまらなくても、大丈夫です。今日は、怒りの下にある気持ちに、ひとつだけ名前をつけてみてください。そして、何度もわいてくる怒りは、相手のもう片方の面を見つけることで、少しずつ落ち着いていきます。ひとりでは、もう片方の面がなかなか見えないこともあります。そんなときは、誰かと一緒に探したほうが見つかりやすくなります。
アンガーマネジメントができないときは|まとめ
- アンガーマネジメントができないのは、意志や性格のせいではない。「6秒待つ」は反射的な言動を防ぐための時間かせぎで、怒りを消す方法ではない
- 6秒でおさまらない理由は、体に余裕がない・怒りの下に別の気持ちがある・「〜するべき」が強い・何度も思い出す・我慢してため込むの5つ
- 対処は「その場」(離れる・吐く息を長く・言葉にする)と「あとから」(書いて捨てる・下の気持ちを探す・寝る、食べる、休む)に分ける
- 物を壊す・手をあげそう、落ちこみや不眠が2週間以上続く、急に怒りっぽくなったときは、心療内科・精神科へ
- 何度もわいてくる怒りは、相手の両面と、相手が大切にしていることが見えたとき、自然に落ち着いていく
今日は、ワークシートの1枚目に、最近腹が立った出来事と、その下にあった気持ちを書いてみてください。
くり返しわいてくる怒りを、一緒にほどいていきませんか
わたし自身も、毎日のように怒鳴っていた義父に、素直に向き合えない時期がありました。怒りの相手のもう片方の面は、ひとりではなかなか見えないものです。ひとりで抱えなくて大丈夫です。
まずは無料のZoom相談(30分)で、お話ししてみませんか。無理な勧誘はいたしません。
愛原百麗 公式LINE
「まだ相談は早いかな」と感じた方へ
LINEで友だち追加すると、『感情と臓器のつながり セルフケア早見表』(PDF)がすぐに届きます。ときどき、新しい記事や無料相談のご案内もお届けします。
メールアドレスの入力はいりません。いつでもブロックできます。














