「仕事をやめたい」と毎日思ってしまう。
でも、まわりは普通に働いている。
「こんなふうに思うのは、わたしが甘えているだけなんじゃないか」
そうやって、やめたい気持ちごと自分を責めていませんか。
こんにちは、看護師でライフコーチの愛原百麗です。

先にお伝えしますね。
仕事をやめたいと思うことは、甘えではありません。
それは「がまんが足りない」というサインではなく、あなたが大切にしているものと、いまの仕事が噛み合っていないというサインです。
この記事では、その噛み合わなさの正体を「バリューファクター(価値観)」という切り口から解きほぐしていきます。
この記事では
・「仕事をやめたい=甘え」が間違いである理由
・甘えかどうかを分ける3つの見分け方
・つらさの正体である「価値観のズレ」とは何か
・あなたのバリューファクターを知る3つの質問
・「やめたいけど、やめられない」ときの考え方
について解説します。
ノートとペンを用意して、読み進めてみてくださいね。
「仕事をやめたい」は甘えではありません
「甘え」という言葉は、本来ならもっと早く手当てすべきだった苦しさに、フタをするために使われがちです。
わたしは看護師として、心身をすり減らしながら働き続けた人を何人も見てきました。
その方たちに共通していたのは、能力が低いことでも、根性がないことでもありません。
「やめたい」と感じた最初の段階で、その気持ちを甘えだと切り捨ててしまったことでした。
やめたいという気持ちは、あなたを弱らせる敵ではありません。
「このままの働き方は、あなたに合っていないよ」と教えてくれる、いちばん早い知らせです。
まずは、その知らせを聞かなかったことにしないでください。
甘えかどうかを分ける3つの見分け方
とはいえ、「じゃあ今すぐ退職すればいいの?」というと、そうではありません。
やめたい理由には層があり、どの層の問題なのかによって、打つ手がまったく変わります。
次の3つを、上から順番に確認してみてください。

① 心身にサインが出ていないか(ここが最優先)
もっとも優先して確認してほしいのが、からだと心の状態です。
次のような状態が2週間以上続いていませんか。
・眠れない、または朝どうしても起きられない
・食欲が落ちた、または止まらない
・日曜の夜から動悸がする、涙が出る
・職場の最寄り駅で足がすくむ、おなかが痛くなる
・これまで楽しめていたことが、何も楽しくない
当てはまるものがあるなら、価値観を考えるのは、いったん後回しにしてください。
この段階は「気の持ちよう」ではなく、心身が限界を知らせている状態です。
心療内科や精神科、職場の産業医、自治体の相談窓口など、医療につながることを最優先にしてください。
看護師としてお願いします。ここだけは、自己判断で乗り切ろうとしないでくださいね。
休職という選択肢もあります。やめるかどうかを決めるのは、休んで回復してからでも間に合います。
② 職場の環境そのものに原因がないか
心身が持ちこたえているなら、次は環境を見ます。
長時間の残業、ハラスメント、人間関係のこじれ、明らかに過大な業務量。
これらは、あなたの内面の問題ではなく、労働環境の問題です。
上司との関係が苦しい、職場の空気に耐えられない。
そういうときに「自分の受け止め方が悪いのかも」と内側に原因を探しにいくと、消耗するだけで何も変わりません。
環境が原因なら、対処は環境を変えることです。
部署異動の相談、労働基準監督署への相談、転職の検討。
ここでは、キャリアの専門家や転職エージェントに相談するほうが、確実に前に進みます。
③ 価値観がズレていないか
そして3つめ。
心身も大丈夫、職場環境も客観的にはひどくない。それなのに、毎日やめたいと思う。
この状態こそが、いちばん自分を責めやすいパターンです。
「こんなに恵まれているのに、やめたいなんて贅沢だ」
「まわりは続けられているのに、わたしだけおかしい」
けれど、ここで起きているのは、能力や根性の問題ではありません。
あなたが本当に大切にしているものの順番と、いまの仕事が求めてくるものの順番が、食い違っているのです。
この記事で扱うのは、この3つめです。
なぜ「価値観のズレ」で仕事がつらくなるのか

わたしがファシリテーターを務めるディマティーニメソッドの創始者、ジョン・F・ディマティーニ博士は、人生を7つの領域に分けて考えます。
精神・知性・仕事・お金・家族・人間関係・健康の7つです。
そして博士は、人はそれぞれこの7領域に自分だけの優先順位を持っていると言います。
この優先順位のことを、バリューファクター(価値観の序列)と呼びます。
バリューファクターとは何か
バリューファクターとは、あなたの人生にとって「何がいちばん大切か」という、生まれ持った順番のことです。
大事なのは、次の2点です。
1. 価値観に良い・悪いはない
「家族が1位」も「達成が1位」も、どちらも正しい。優劣はありません。
2. 上位の価値観に沿うことは、勝手に続く
上位の価値観に沿った行動には、自然と時間もお金もエネルギーが注がれます。誰に言われなくても続きます。
つまり、逆もまた成り立ちます。
下位の価値観ばかりを求められる場所にいると、人は驚くほど疲れます。
朝起きるのがつらい。仕事にやりがいを感じられない。がんばろうとしても、気力がわかない。
これは怠けているのではなく、自分の上位の価値観からエネルギーを引き出せていない状態です。
たとえば、「人とのつながり」が上位にある人が、一日中ひとりで数字を処理する仕事に就いたとします。
仕事は正確にこなせるでしょう。でも、心は少しずつ枯れていきます。
逆に「効率と達成」が上位の人が、人間関係の調整ばかり求められる職場にいれば、やはり消耗します。
どちらも能力の問題ではありません。置き場所の問題です。

そして多くの人は、この「置き場所のズレ」を「自分の甘え」だと誤解してしまうのです。
あなたのバリューファクターを知る3つの質問
価値観は、頭で考える「理想」ではなく、すでに実行している行動に表れます。

ノートに書き出しながら、次の3つに答えてみてください。
質問1:あなたの時間は、何にいちばん使われていますか?
仕事や睡眠を除いた時間で、実際に何をしていますか。「したいこと」ではなく、先週から昨日までに実際にしたことを書いてください。
質問2:あなたのお金は、何にいちばん使われていますか?
固定費を除いて、自由に使えるお金の行き先を見てください。財布や決済アプリの履歴は、正直な答えを持っています。
質問3:誰にも頼まれていないのに、続いていることは何ですか?
がんばろうと決意しなくても続くこと。むしろ、止められてもやってしまうこと。
3つの答えに共通して出てくる言葉が、あなたの上位の価値観です。
そのうえで、こう問いかけてみてください。
「いまの仕事は、その価値観をどれくらい満たしていますか?」
もし「ほとんど満たしていない」と感じたなら、やめたくなるのは当然です。
あなたが弱いのではなく、仕事があなたの大切なものに触れていないだけなのです。
関連記事:
価値観一覧100|人生の7つの領域別リストと「本当の価値観」の見つけ方
言葉が出てこないときは、この一覧から選ぶと見つけやすくなります。
「やめたいけど、やめられない」ときの考え方
価値観のズレに気づいても、すぐに退職を決められる人はほとんどいません。
多くの方が足を止めるのが、お金の不安です。
「貯金がないから、やめられない」
「収入が下がったらどうしよう」
この不安は、とても現実的で、まっとうなものです。無視してはいけません。
ただ、ここでひとつだけ見直してほしいことがあります。
「やめる」以外の選択肢を、ちゃんと並べましたか?
・いまの職場のまま、担当業務を変えてもらう
・部署異動を願い出る
・労働時間を減らす(時短・夜勤免除など)
・仕事は続けたまま、上位の価値観を満たす活動を仕事の外に置く
・生活費を把握して、やめられる状態をつくる期限を決める
とくに4つめは効果があります。
価値観は、仕事だけで満たす必要はありません。
「仕事以外の場所で上位の価値観が満たされている人」は、同じ職場にいても消耗の度合いがまったく違います。
そして5つめ。
「いつかやめたい」を「◯年◯月までにやめられる状態をつくる」に変えるだけで、同じ職場の景色が変わります。
やめられないまま我慢しているのと、準備期間として過ごしているのとでは、心の消耗がまるで違うからです。
お金の不安そのものについては、こちらでくわしく書いています。
価値観がわかると、判断の軸が変わります
バリューファクターがはっきりすると、決め方そのものが変わります。

これまでは、こう考えていたはずです。
「やめるべきか、続けるべきか」
けれど、この問いには答えが出ません。どちらにも理由がつけられるからです。
価値観がわかると、問いはこう変わります。
「わたしが大切にしているものを、いちばん満たせる道はどれか」
この問いなら、答えが出ます。
そして面白いことに、価値観を整理したあとに「やめない」という結論にたどり着く方も少なくありません。
仕事の中に、自分の価値観とつながる部分を見つけられたからです。
同じ業務でも、上位の価値観と結びつけられると、「やらなきゃ」が「やりたい」に変わります。
やる気は、気合いではなく価値観から生まれます。
やめるにせよ、続けるにせよ。
自分の価値観をわかったうえで選んだ道は、後悔になりません。
あなたのバリューファクターを、一緒に見つけませんか?

わたしはDr.ディマティーニから直接学び、バリューファクター®の修了証を受け取りました。
ひとりで質問に向き合っても、「こうあるべき」という思い込みや、理想の自分像がじゃまをして、本当の価値観にたどり着けないことがあります。
とくに「やめたい自分はダメだ」と責めている状態では、正直な答えが出てきにくいものです。
個人セッションでは、あなたの実際の行動や言葉から価値観の順番をていねいに特定し、いまの仕事をどうするかというところまで、具体的に結びつけていきます。
「仕事をやめたいのは甘え?」のまとめ
- 仕事をやめたいと思うことは甘えではなく、噛み合っていないというサイン
- まず確認するのは心身のサイン。2週間以上続くなら、価値観より先に医療へ
- 次に確認するのは労働環境。ハラスメントや過重労働は、環境側の問題
- どちらでもないのにつらいなら、原因は価値観(バリューファクター)のズレ
- 価値観は理想ではなく、時間・お金・自然と続くことに表れる
- 価値観がわかると、問いが「やめるべきか」から「何をいちばん満たせるか」に変わる
やめたいと思っている自分を、どうか責めないでください。
その気持ちは、あなたが自分の人生を大切にしたいと思っている証拠です。
「やめたい」の理由を、一緒に言葉にしませんか
ひとりで抱えこまなくて大丈夫です。どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。
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